猫のにゃんこ

Uさんから相変わらず朝早く電話が入る。7時前の時は、「こんな時間に誰だろう？」なんて考えるのだが、早い時間はまずUさんに違いなかった。

藤の木の下には、ツルツルとした丸い石でできた椅子がある。彼女は今日もそこに座っていた。

猫のにゃんこはかごから出てしんなりしんなり歩いていた。猫の散歩は犬と違い一般的ではないようだ。この猫は外に出ることを覚えさせてしまったからか、とにかく家の中だけじゃ満足しないようだ。

彼女は、「猫だって家の中にいるだけじゃ可哀想だから、散歩させるの。」とピンクのペット用のかごを持っている。

行き交う人達は、猫に近寄って来たりする。猫好きな人は結構多い。猫が好きな人、犬が好きな人と色々だが、毎日散歩している人達の多いこと。

チュールチュールとCMに出て来るチューブの餌を美味しそうにペロペロ食べている。

この子は、とにかくきかん坊の女の子だ。Uさんはこの子のことで毎日がてんてこまいだ。「この子は本当にきかない子なの。」そうね、飼い主さんに似ちゃうのよね、なんて正直思ったりした。

今日もこの子は、Uさんの隣のまたその隣の家のベランダに飛び降りたそうで、そこの奥さんから呼ばれて引き取りに行ったみたいだ。ベランダくらいは遊ばせてあげたいと、ベランダに出したらさあ、大変！　集合住宅の5階から落ちたら大変と、早速大工さんに頼んで木の壁を作った。それでも、この子はあっちこっちと歩きまわる。はらはらどきどきの子なのだ。