兄嫁

意地悪な兄嫁

1ヶ月に1回は夫の実家へ二人で行った。大家族なのでご飯の量が違う。「うちはガス釜で沢山炊くからご飯が美味しいでしょう!」兄嫁はこのご飯がご自慢だった。お手伝いさんには当時7才位の女の子がいて、一人っ子でいつも一人離れたところにいた。私は彼女が気になった。彼女はそんな私に時折、話しかけてきた。私の名前をそっと呼ぶのだ。私は元来、子供が好きだ。そんな風で彼女は私に懐いていた。

私は小学校の時に買ってもらったコーヒーカップセットの「おままごとセット」を長い間、大切にしまっておいた。50X30cm位の箱にコーヒーカップとお皿のセットがいくつもあって、スプーンなどが付いていた。なかなか立派なままごとセットで気に入っていた。

当時、とても嬉しくて何十年も捨てられずにいたのだ。私は押し入れから取り出し、彼の実家へ持って行った。そしてこの子に「これ、良かったら使って」と渡した。彼女は「わっ~」と手を叩きとても喜んでいた。

その様子を遠くから見ていた、夫の兄(長男)の嫁、「兄嫁」は喜ばなかった。「いったいどこの子だと思ってるんだろうね。」とこちらに歩いて来て、同じ言葉を何回も彼女に浴びせたのだ。まるで叱っているような口調でだ。兄嫁は「お前は使用人の子共だろう、うちの子じゃないんだよ、どこの子だと思っているの?」と、見下しているように見えた。私は喜んでいるこの子が可哀想になった。何も悪いことをしているわけじゃないのに、何で叱られるの?

聞きつけたこの子の母親は、私にお礼を言い、たまりかねてこの子に「こっちへおいで」と、この子を連れて行った。この人はこんなに気を使いながら生きているのかと悲しくなった。

私はこのことを2人になった時に夫に伝えた。夫の返答はこうだった。「あ~、義理の姉は、長男の嫁だからさ、自分もさんざん母親からやられてきたのよ。僕も見て来たよ。長男夫婦は財産を全部継ぐわけだから、どうしてもやられるのよ。だから、仕方ないんだよ、自分がやられたことを、自分も同じように人にやるんだよな。長男の嫁はそんなもんよ。」と彼は私に気にするな!と言った。

「これでは、まるでいじめみたいじゃない!あの子が可哀想!」と私はつぶやいた。兄嫁は昔のドラマに出ていた京塚昌子に似た肝っ玉母さん的な人で、しっかり者だった。でも、自分の子供達3人には至れり尽くせりに育てているのに何だろう?と私は感じたのだ。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です